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17年。

「まだ生きそうでしょ」
と母は言ったけれど、
「そうなればいい。でも、いつかは来る。そう遠くなく」
そう思っていた。
それが今週火曜日のこと。

「ラビが死んだみたいです。まだあったかいけれど、ぜんぜん動かない」
朝、目覚ましでもなんでもなく目を覚ますと、母からメールが来ていた。

ちょうど17年。

私が小5になる年のちょうど今頃、生まれて50日足らずで我が家にやってきたチワワ。
たぶん、後にも先にもあんなに親にねだったことはない。
あのとき、なんであんなに欲しかったのか。今となってはわからないけれど、
とにかく欲しくて欲しくて仕方なかった。

言葉だって通じないし、簡単に抱っこだってさせてくれない。
いっつもひとりでいて、マイペースでわがままで、
芸なんてひとつも出来ないおばかちんだったけど、
でも、あたしのたったひとりの弟。

「お母さんもあんたも落ち着くまで見守っていたんだね」
父が死んでからもうすぐ丸7年。
実家に帰って父にお線香をあげるときには必ず、
母が穏やかに楽しく健康に過ごせること。
祖母と祖父が元気で長生きすること。
そして、ラビが元気で長生きすること。
その3つだけをお願いしてきた。
早く逝ってしまったんだから、それくらいやってよね、って。

こないだ、お線香上げ忘れたから、連れてっちゃったのかな…


ラビにも必ずお願いしていた。
お母さんをよろしくねって。

でも、もう大丈夫って思ったのかな。


あたしの家は、父はアルコール依存症、そして世にいう嫁姑問題があって
とにかくずーっとずーっとごたごたした家だった。
こんな家に連れて来てごめんねって何度も思った。
でも、口なんか聞けなくても、抱っこだってさせてくれなくても、
あたしはラビがいてくれたから、寂しさが紛れたんだ。


死んじゃうと本当に冷たくなって、かたくなっちゃうんだね。


去年の秋頃から満足に歩けなくなり、
今年に入ってからはほぼ寝たきり。
母がリュックに入れておんぶしながら面倒を見てくれていた。
覚悟はしていた。
そして、やっぱりいつかはやってくる。

車を飛ばしながら、近づくほどに怖くなって、
帰りたいけど、帰りたくなくて、嘘であればいいって思って。
見た目は寝ているのと変わらない、
でももう動くことのない小さなラビのカラダを見て、
やっぱり泣けて仕方なかった。


病気ひとつせず、きままに生きた17年。
本当に大往生。
面倒を見てくれた、本当に良く見てくれた、母に感謝。

ありがとう、ラビ。
お父さんと見守っててね。

by punyo_chihi | 2010-03-20 06:47  

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